日産ノートはこのジャンルでベストの1台だが乗り心地と価格は少し気になる
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:市 健治 146
掲載 carview! 文:伊達軍曹/写真:市 健治 146
以降、東京都内から千葉県までのさまざまなシーンでさらに走りまくってみた結果、とりあえずの結論は以下のとおりとなった。
●いついかなるときでもすこぶる力強い車である。
●いついかなるときでも車内はBセグ車(トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」ぐらいの車)としては異例なまでに静かである。
●ただしアクセルを踏み込んだ際のエンジン音はさすがに安っぽい(まぁ仕方のない話だが)。
●路面が良い道路での巡航フィールは高級車並み。
●カーブなどでちょっと頑張ってみた際のステアフィール等は欧州ホットハッチ並み。
●最上級グレードにオプションとして装着可能な「プロパイロット」の制御も、先代以上に自然で確実。
以上のことをドライバーとして確認した後に後席に座ってみると、先代より全長が55cm短くなったとはいえ、このクラスとしては依然としてやや長めに属する全長の恩恵か、後部居住スペースは「十分広い」と言えるニュアンスであった。
具体的には、運転席を適切な位置にセットしたうえで身長175cmの筆者が後席に座ると、ひざ元には6~7cmほどの余裕があり、頭上にも8cmほどの空間が生まれる。立ちすぎではないバックレストや、妙に角度が付いているわけでもない座面と併せ、静止状態での「後席着座フィール」はまずまず良好である。荷室の容量や使い勝手は、Bセグメントのハッチバック車として標準的だ。
以上が、本稿の冒頭にて新型ノートを「このクラスのベストがどうかは知らないが、少なくともベストと思われる車種群の一角である」と評した理由である。
そのうえで、新型ノートの「欠点」と思われる2つのポイントを記したい。
ひとつは、乗り味をスポーティな方向に振りすぎたせいか、舗装が悪い箇所での微振動や突き上げがなかなか不快であるということだ。
本稿では繰り返し「新型ノートは乗り心地がいい」という意味のことを書いてきたが、そこには必ず「舗装の良い場所では」という旨の文言が入っていたことに留意されたい。
舗装が良い局面での新型ノートは本当に超絶ウルトラ快適だが、舗装が荒れ気味の箇所や目地段差が多い箇所では絶え間ない振動に襲われ――いや「襲われ」というのは大げさだが、絶え間なく「感じる」ため――今ひとつ快適ではないのだ。
筆者の場合は「でも総合的なハンドリングがいいのでオッケーです!」と個人的には判断したが、人によって判断が分かれがちな部分ではある。購入時は自分ひとりではなく助手席や後席にも家族を乗せて試乗し、彼ら・彼女らの意見も吸い上げることが、後の家庭円満につながるだろう。
もうひとつは、「プロパイロットを付けるとなるとけっこう高くつく」ということだ。
プロパイロットが装着可能な2WDの最上級グレード「X」は、最上級グレードとはいえ車両本体価格218万6800円と、昨今の新車としては「かなりのお手頃価格」だと言える。
ただし、「やはりプロパイロットは付けたい」となると、プロパイロットはそれ単体では装着することができず、インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)やインテリジェント ルームミラーおよびその他モロモロがセットになった42万200円(税込み)のパッケージオプションを装着しなければならない。
そして、標準のヘッドライトは最上級グレードのXでもハロゲンなので、「やっぱり今どきはLEDじゃないとね……」的に考えはじめると、やはりその他モロモロもセットになった9万9000円(税込み)のパッケージオプションを選ばないと、ハロゲンのままになってしまうのだ。
……となると新型ノートは、結局「200万円ちょいの車」ではなく「(ディーラーオプションまで入れて)約280万円+諸費用=300万円級の車」になってしまうのである。
とはいえ日産広報部によれば初期受注の約4割は「プロパイロット付き」でオーダーされているとのこと。そして「新型日産 ノートには約300万円ぐらいの価値は余裕である」という点については、筆者もまったく異存はない。そのため、ご予算的に問題がないのであれば、最上級グレード+プロパイロット(+LEDヘッドライト)という選択こそが正義ではあるのだろう。
まぁオプション装備の選択については各位に任せるとして、路面が悪い箇所での乗り心地以外は、その素晴らしい内外装デザインを含めて「おそろしいほど出来の良いBセグメント車である」という以外の言葉がちょっと浮かばない。
試乗のうえ、乗り心地に問題なしとあなたが判断したのであれば、間違いなく「買い」の一台だ。
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